明るくなるには上を向く

今回は、心を上向かせるには上を向くといいというお話です。
そんな単純なと思わずに、きちんとした裏付けを知って、今後の生活にぜひ役立たせてください。

上にあげる動作で、気持ちが明るくなる

マックスプランク研究所でこんな研究が行われました。 

空のティッシュ箱のようなものを上下に積み重ね、その中におはじきをたくさん入れます。
そしておはじきを下から上にあげたり、上から下にさげたりという作業をしてもらいます。
このとき、たとえば、この冬の思い出を教えてくださいといった質問をします。

すると、なんとおはじきを上にあげる動作をしているときには、ポジティブなことを、素早くたくさん思い出しやすくなる
下にさげる動作をしているときには、ネガティブなことをより早くたくさん思い出すのだとか。

下を向くと自己中心的になりやすい

目からの情報は脳では視床(ししょう)という場所を経由して、後頭葉(こうとうよう・頭の後ろのほう)にある視覚野(しかくや)に入ります。 

このとき、視野の右半分(右目という意味ではありません)の情報は交差して視覚野の左側に、視野の左半分の情報は視覚野の右側に入ります。
同様に、視野の上下も交差して、視野の上半分は視覚野の下側に、視野の下半分は視覚野の上側に入ります。

そして、視覚野の上側は、自己中心的(エゴセントリック)な世界把握にかかわりやすく、過去の振り返りにつながりやすいそうです。
逆に、他者中心的(アロセントリック)で未来志向な世界把握には、視覚野の下側がかかわるそうです。

つまり、「下を見る」と暗い過去を思い出し、自己中心的になりやすい。
「上を見る」と明るい未来を思い描き、他者との関係を考えていきやすいのです。

心を動かしたければ身体から

ほかにも、このようなものがあります。

  • 背筋を伸ばすと認知機能テストの成績があがる
  • あたたかいものを持つとあたたかい気持ちになりやすい
  • 硬い椅子に座って話を聞くと相手の話に対する判断が厳しくなる
  • 重いものを持つと大事な判断を抱えていると思いがちになる
  • 右利きは操作しやすい右側をイメージすると明るい気持ちになる
  • 笑い顔を作ると楽しくなる
  • しかめ面をすると厳しい気持ちになる

など、身体の状態が心に影響を与えることを示す研究が多数報告されています。

上を向く動作は、心を上向かせる。下を向く動作は、心をダウンさせる。物理的なあたたかさは、心のあたたかさを呼ぶ。物理的な重さは、気持ちを重たくする。

こういった言葉の共通性は、日本語独特ではありません。どの言語も同じです。

おそらく進化的に、身体を制御する仕組みが先にでき、その仕組みを使って「こころ」が生まれた。
だから、その表現が共通するのではないかと解釈されています。

気持ちの操作をしたければ、気持ちではなく動作を、姿勢を、行動を操作したほうが手っ取り早かったりするのです。
「身体の状態や、それに伴う脳の反応を、脳が解釈して自由意思が生じる、感情が生じる、自我感が生まれる」、一般の感覚とはかけ離れた哲学的な表現に見えますが、脳科学では標準的な理解です。


この記事はポピーの教育情報まとめサイト・ポピー子育て応援隊より抜粋しています!

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