よいところを見つけ、成長につなげる! 通知表の見方’23

今月の特集はいかがでしたか? ウェブ版では、惜しくも特集ページに収録しきれなかった、城ヶ﨑先生のお話の続きを掲載します。

 

城ヶ﨑滋雄 先生
(千葉県公立小学校講師)
「ポピーf」ではすっかりおなじみ。今回も、通知表の見方や効果的な声かけについて、的確なアドバイスをいただきました。

 
 

ひとくちに「B」と言っても
実際にはいろいろなレベルがあります

 通知表を見るとき、どうしても気になるのは、やはり「教科の成績」だと思います。「Aであれば嬉しいけれど、Bが取れていれば、ひとまず安心」と感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。

 確かに、A・B・Cのうちの真ん中のレベルであれば、何となくは安心できるでしょう。

 しかし、Bだからといって、全く心配いらないかというと、決してそうではないのです。

 成績の付け方が、以前の相対評価から絶対評価になったことで、かつての「5」は今で言う「A」、「4・3・2」が「B」、「1」はおおむね「C」だと解釈できると考えられます(学年や学ぶ内容、教科によって変わります)。

 どうでしょうか。一見安心に見える「B」には、以前の通知表で「4」だった子どももいれば、「2」だった子どももいます。両方とも、同じ「B」の評価をもらっていますね。


 100点満点のテストで考えてみましょう。「A」は80点以上、「B」は79点〜60点くらい、「C」は59点以下がおおよその目安になります(学年や学ぶ内容、教科によって変わります)。

 Bに注目すると、61点の子どもと79点の子どもの間には20点近い得点差があることがわかるでしょう。つまり3段階の成績づけだと、限りなく「C」に近い子どもも、逆にあと1点で「A」になる子どもも、成績の上では同じ「B」になるのです。

 Bを取れたからといって、一律に安心できるわけではないのです。



「A」を取るのは
予想以上に難しいことなのです

 通知表の「B」の幅が増えたことによって、これまでよりも「A」を取ることが難しくなりました。テストの得点で言えば、低学年ではほとんど満点か、90点以上を取ることが必要です。

 学習の内容が比較的易しい低学年は、テストの難易度もそれほど高くありません。そのため、クラスの多くの子どもたちが高得点を取ります。つまり、テストはできて当たり前。そのうえ、皆が高得点なので、いくらよい点を取っても、それだけでは差がつきにくいのです。

 そこで、活発に授業を受けているか、学んだことを活用して自分で新しいことを考えているかなど、学習の深さや質が見られるようになります。テストの得点がそのまま成績に結びつくわけではないことを知っておいてください。

 また先ほども触れたように、学校や地域によって得点の基準は変わるため、どこまで得点できたら確実に「A」になるのか、正確に知ることは難しいです。ただ、おおむね80点台後半をコンスタントに取れているなら、あとひとがんばりで「A」に近づける可能性は高いでしょう。「あと1問正解」を目標に家庭学習を続けてください。

 また、「忘れ物の多さも成績に影響しますか」という質問を時々受けますが、忘れ物は基本的な生活習慣ですから、直接には影響しません。ただし「行動の記録」のほうには影響します。いずれにしても注意したほうがよいでしょう。

 「A」を取れるのは、本当にすごいこと。お子さんが「A」だったときには、それを「当然」だと思わず、大いにほめてあげてくださいね。

Aをとるって、すごいことなんです!



通知表をよりよく生かすには

 通知表や1学期のテストの結果を見て、夏休みにできること・やっておきたいことをピックアップしてみましょう。

 たとえば、3けたの割り算のテストが60点だったなら、「3けたの割り算のワークで80点とる」「まちがえた問題を解き直して正解にする」などとふせんに書いて、目につくところに貼っておきます。いくつか貼っておき、できたものからはがしていきます。目にしていたものがなくなっていくことで、「夏休み、これだけのことができた」という達成感が得られるでしょう。

 忘れてほしくないのは、通知表は、子どもの成長や良さを認めるためのものである、ということです。2学期に向けてさらに成長し、子どもが自らの良さをもっと発揮するにはどうしたらよいか。それを考えるひとつの材料として、上手に使っていただきたいと思います。


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